ビクター・ウェンバンヤマは、NBAキャリア開始からわずか99試合で221本の3ポイントシュートを成功させました。
この数字がどれだけ驚異的かを考えると、歴代3ポイント成功数でトップのステフィン・カリーですら、同じ記録に到達するのに111試合を要しています。
ただし現代のNBAファンにとって、この記録は驚きつつも衝撃的とまではいえないかもしれません。
この事実はNBAが進化してきた背景、特にABAが残した最大の遺産である「3ポイントシュート」の重要性を物語っています。
3ポイントシュートは1976年のリーグ統合以降存在していましたが、本格的に戦術として活用され始めたのはここ10年ほどのことです。
ゴールデンステイト・ウォリアーズとステフィン・カリーがジャンプシュート中心でチャンピオンシップを制したことが、その革命の始まりでした。
以降、スペーシングやシュートに基づく多くの画期的な戦術が生まれ、NBAのゲームを変えました。
こうした変化の影響は、ビクター・ウェンバンヤマのプレーにも色濃く反映されています。
ウェンバンヤマが示すオフェンスとスキルの融合
ウェンバンヤマのような選手が過去の時代に存在していたら、どのようなプレーをしていたのでしょうか。
1980年代、90年代、あるいは2000年代に育ったとしたら、そもそも3ポイントシュートを打つことを望んだでしょうか?
多分そうではなく、主にゴール下やミッドレンジのプレーに限られ、多彩なスキルを持つ選手として注目はされたでしょうが、224cmのセンターとして「伝統的な役割」を求められていた可能性が高いです。
しかし幸運にも彼は現代という時代に活躍しています。
リーグ全体で3ポイントシュートが主流となり、ウェンバンヤマもその流れの一部です。
36分あたり平均10.3本の3ポイント試投はリーグ全体で8位にランクインしており、成功率も35.5%とリーグ平均並みです。
さらに、彼は20位以内に入る選手の中で、もう一人の7フッターであるジェイ・ハフと並ぶ存在です。
彼のプレーは、現代のバスケットボールの象徴であり、同時にその未来を予見させるものでもあります。
スキルボール時代の申し子
元スパーズのデータセンターのカーク・ゴールドスベリー氏は、「2010年代がスモールボールの時代だったとすれば、2020年代はスキルボールの時代だ」と指摘しています。
この変化の中で、ウェンバンヤマはその進化の最前線に立っています。彼のスキルセットは3ポイントシュートだけにとどまらず、空間を利用する能力やパス、ボールハンドリングなど、これまでのビッグマンとは一線を画すものです。
ウェンバンヤマの存在がリーグにもたらす影響は計り知れません。
彼は「スキルを持つビッグマン」の中で最も優れた選手になり得る存在であり、その影響でこれからの若い選手たちが新しいスキルを学び、既存のカテゴリーを超えたプレーヤーを目指すでしょう。
また、彼に対応するための戦術やディフェンススキームもより多様化が求められます。
彼の記録的なスリーポイント成功数は、過去の偉大な選手たちが築いてきた基盤の上に成り立っています。
同時に、彼はその枠を超えて新たな時代を切り開いています。
現代という時代が、ウェンバンヤマにとって最高の舞台であることは間違いありません。そして私たちは、その進化を間近で見守る特権を持っているのです。
引用画像:San Antonio Spurs Photo Galleries
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