2024-25シーズン開幕前、ESPNやFanDuel Sportsbookはスパーズが31~35勝すると予想していましたが、現時点で40勝ペースの好調を維持しています。
この飛躍的な進歩の背景には、クリス・ポールやハリソン・バーンズといったベテラン選手の加入、そしてヴィクター・ウェンバンヤマの大幅な成長があります。
これにより、スパーズは2019年以来となるプレーオフ進出の可能性も視野に入れています。しかし、たとえプレーオフに進出できたとしても、チャンピオンシップを目指すタイムラインを急ぐべきではありません。
シーズンの47%が経過した時点で19勝19敗の成績を収めているスパーズは、昨年1月9日時点の5勝30敗から大きく成長しました。
それでも、チームの平均年齢は24.7歳であり、現時点での優勝を期待するのは現実的ではありません。
2012年にケビン・デュラント、ラッセル・ウェストブルック、ジェームズ・ハーデンの若手中心でNBAファイナルに進出したオクラホマシティ・サンダーのような成功例は特例に過ぎません。
ポールやウェンバンヤマが「若手チーム」のレッテルを外したいという発言をしても、チームがまだ成長過程にあるという現実は変わりません。「ローマは一日にして成らず」です。
今すぐの大型補強がもたらすリスク
ディアロン・フォックスのようなスター選手をトレードで獲得するのは魅力的に思えます。
例えばキャバリアーズはドノバン・ミッチェル獲得後、成功を収めました。
しかし、このトレードが実を結ぶまでにジャレット・アレンやダリアス・ガーランドというオールスター級の選手、さらにはエバン・モーブリーのような有望株を揃えていました。
しかも、本格的に強豪となるまでに3年を要しました。
スパーズが現時点で大型トレードに踏み切った場合、ウェンバンヤマとスター選手を中心にしたチームとなりますが、3番手に続く選手がまだ準備不足の状態ではチャンピオンシップ争いには程遠いでしょう。
さらに、フォックス級の選手を獲得するには、ステフォン・キャッスルやジェレミー・ソーハン、さらにはドラフト1巡目指名権を含めた「プレミアムチップ」を手放す必要があります。
こうしたリスクを負ってまで補強を行うのは、優勝が目前に迫った段階でなければ不適切です。
スパーズに必要な成長要素
スパーズが次のステップに進むためには、いくつかの課題を克服する必要があります。
具体的には以下の点が挙げられます:
- ステフォン・キャッスルの選手としての成長(特にペイントでのフィニッシュ力やシュート力)
- スイッチディフェンスが可能な質の高いビッグマンの獲得
- ジェレミー・ソーハンの3ポイントシュート力向上
- ウェンバンヤマの真の相棒となる選手の発見または育成
キャッスルが将来的にセカンドオプションとなる可能性もありますが、現時点ではフィニッシュやシュートに課題があります。
それでも、こうした選手を見極めて育成する時間は十分にあります。
また、開発が常に直線的でないことも覚えておくべきです。選手やコーチがスランプに陥ることもありますが、それが重要な学びの機会となることも多いのです。
失敗例から学ぶべき教訓
焦りは禁物です。例えば、フェニックス・サンズがケビン・デュラントやブラッドリー・ビールを加えた際、長年の苦労で築き上げた基盤を無駄にしてしまいました。
またブルックリン・ネッツがドラフト指名権を放棄し、過去の栄光にすがる選手を獲得した結果、成功を逃したことも記憶に新しいでしょう。
一方で、オクラホマシティ・サンダーは指名権収集を続けながら、着実に成長しています。
2019年にプレーオフ進出後も一度後退し、22勝、24勝、40勝と段階を踏んで最終的にウェスタンカンファレンス1位の座を手にしました。スパーズも同じように、ウェンバンヤマを中心に資産を蓄えつつ、長期的な視点で成長を目指すべきです。
NBAは大人のリーグであり、成功するためには多くの努力と失敗が必要です。スパーズもその過程を経ることで、真の強豪チームへと進化するでしょう。
引用画像:San Antonio Spurs Photo Galleries
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